足関節の捻挫には大きく分けて内反捻挫、外反捻挫に分類します。
捻る方向によって痛める組織が変わってきます。
内反捻挫では内側に足の関節が捻られることによって外側(外くるぶし側)の靱帯が引き伸ばされていきます。逆に外反捻挫では内側(内くるぶし側)の靱帯が引き伸ばされてしまいます。
捻挫で圧倒的に多いのが内反捻挫になります。
前述した通り、もっとも多い捻挫の種類は内反捻挫になります。とても単純なことなのですが人間が立位で身体のバランスを取っている時には足の外側を重心線が通ります。それに加えて足関節の可動域を見ても内側に曲がりやすい性質があるために歩行時、運動時に支えが効かなくなると内側に捻り易い構造になっています。
内側に捻った時には足の外くるぶし付近の靱帯が引き伸ばされて損傷しやすくなっています。代表的な靱帯は前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯の外側靱帯と呼ばれる3つの靱帯になります。
内反捻挫の主な症状としては
1,痛めた靱帯を引き伸ばそうとすると痛みが誘発される、圧痛がある。
2,腫れ腫脹がみられる。
3,急性期には熱感を伴う。
4、内出血がみられる
5,関節の動揺性がみられる
などの症状があげられます。急性期の痛みが強い(足を着くだけでも激痛が走る、自立歩行が困難)場合には病院、整形外科でのレントゲンの受診を行って下さい。また夜間や休日に痛めてしまった場合には応急処置を自分で行って下さい。
応急処置(RICE)
急性期の応急処置としてRest(休息、安静)、Ice(冷却、アイシング)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)を第一選択に行っていきます。
・Rest・・・患部の安静を保つ。傷の広がりを抑えたり患部の炎症を必要以上におこさなくするために患部を動かさないようにする。
・Ice・・・患部を直接氷嚢などを使って冷やす。冷やすことにより患部の血管を収縮させて痛みを引き起こす発痛物質を抑える効果があり鎮痛、腫脹を抑える効果が期待できます。自分で行う時には凍傷にならないように気をつけていきましょう。
簡単なアイシングの例 スーパーなどで貰える保冷剤を使う方法も良いと思います。冷凍庫の氷をザルなどにあげて一度水通しを行います。水切りを行いビニール袋(2重が好ましい)に入れて患部に直接当てていきます。目安としては痛みが強い場合は30分程度、それ以外は15分~20分程度を目安に1日3~6回ほど行っていきます。アイシングの間は1時間以上空けるようにしていきましょう。
・Compression・・・患部をテープ、包帯などで圧迫していきます。腫脹を抑えることにより関節の可動域を確保します。圧迫を加えることにより周りの組織、筋肉の働きを高めて患部を支える力を強くする、患部に負担をかけないようにする目的もあります。
・Elevation・・・患部を心臓の位置より高く挙上させます。血液、体液は身体の中を循環しています。心臓を出た血液は全身を巡り心臓、骨格筋などのポンプの作用によって心臓に還元されていきます。心臓より患部を上にする事によって重力の力を加えて血流を心臓に還元することが出来ます。その結果むくみ、腫脹を軽減させたり治癒力を高める効果が期待できます。
1度捻挫をしてしまうと癖になるという事がよくあげられます。また以前捻挫をした場所がなかなか痛みが治まらないなど処置が甘かったり長期間放置していた場合は他にも痛みの原因ができてしまうことも考えられます。
一度引き伸ばされた靱帯は元の状態には戻らないと言われています。そこを補強しているのが骨格筋と呼ばれるものになります。普段人間は自分の体重を関節に乗っけても周りの筋肉が支える役割をしている限り関節に痛みが出ることはありません。しかし周りの筋肉の支えが効かなくなってしまうと痛めた関節に再び痛みが出たりぶり返してしまったようなことが起こるリスクが高くなってしまいます。慢性的に痛みが続く場合には足のアライメントが崩れていて痛みが治まらない場合も考えられます。
足のアーチが無くなることによって歩行時、運動時にクッションの役割が上手くはたせずに衝撃が吸収されなくて足の関節に負担がかかってしまうことにより治りが遅くなるケースが非常に多く見受けられます。
急性期には上記の通りRICE法に基づき応急処置を行っていきます。
また損傷部位を特定する為にストレスをかけて損傷した靱帯を特定していきます。
関連する足関節を可動させる為の骨格筋を調整していきます。
鍼治療も非常に有効的になります。患部に直接鍼を打つことによって組織の再生を促したり痛みの元である神経の興奮を抑える効果が期待できます。
慢性期、長期的に痛みが続いている場合は足首周りの筋力を検査した上で直接足の関節のアライメントを整える施術を行っていきます。アーチを形成するようにテーピングを行う場合もあります。
歩き方の指導など生活習慣の見直しを行っていき根本からの改善を目指していきます。
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